内科と一言で言っても、消化器、呼吸器、循環器、神経、血液、内分泌、腎臓といったように数多くの専門に分かれており、それぞれの先生の得意分野(専門分野)があります。
同様に、歯科と言っても口腔外科、保存科、小児歯科、補綴(ほてつ)科など沢山の科に分かれています。さらに補綴科にも、インプラント、入れ歯というようにそれぞれの専門分野があります。
すべての分野を満遍なく保険診療して下さる一般歯科も大切です。しかし、一般歯科では手に負えない、上手くいかない方はどうしたら良いのでしょうか。諦めるしかないのでしょうか。専門家には、その道に特化した豊富な知識と経験があります。そのため、難易度の高いと言われる方々も安心して、治療をお任せください。
専門医が大切になってきた理由に、時代背景が挙げられます。
人生100年時代と言われる現代、以前に比べ長生きできる方が増えてきました。そのため、お口の状態も多様化してきております。歯がない方、と一言で言っても、お一人お一人顎堤(土手)の状態も顎関節の状態も違います。そのため、一筋縄ではいかない、難しい方々が増えているのです。難しい方の例として、顎堤吸収の大きい方や顎が不安定な方があげられます。
入れ歯製作が難しい方
顎堤吸収の大きい方
できる限り歯を残すことが主流の現代では、昔のようにすぐには歯を抜きません。そのため、歯周病で顎の骨が減ってしまい、入れ歯を作るころには、骨がやせ細っている方が以前に比べ大変多くなりました。入れ歯を安定させるためには、顎堤(土手)の高さや幅が大切です。それがない方は横の動きを抑えることができず、入れ歯を吸着させる面積も少ないため入れ歯が安定しにくくなります。
そのような方は特に注意して、筋肉の動きや粘膜の状態、舌の動きを考慮して入れ歯を製作しなければ、使いづらい入れ歯になってしまいます。
顎が不安定な方
写真は顎の動きの検査(ゴシックアーチ)を行ったものです。
タッピングポイント(顎を上下に早く動かし、カチカチさせることでできる点)が一点に収束せず、バラつきが認められます(赤い矢印部分)。顎が安定しない方にこのような状態が見られます。このような方は、食事の際もいたるところで噛みます。そのため、一か所でしか安定しない入れ歯にすると、他の場所で噛んだ際は入れ歯が動き、噛めないという状態になってしまいます。
このような方には、一か所でだけ安定するのではなく、どこで噛んでも安定するような噛み合わせの入れ歯を作ってあげることが大切です。